スリランカと池上を結ぶ仏教ラインと、寒天による食感開発について

 代々木公園に行ってスリランカフェスを覗いてきた。だいたい予想通りのフェスで、民芸品を眺めたり、屋台でごはんを食べたりした。スリランカ料理は特筆するほどおいしいものではなかったけれど、フェスはなかなか賑わっていた。日曜日の賑わいというのは、たぶん最高に平和で好ましいものだ。代々木公園の木陰で、騎馬戦の練習をだらだらと眺めることができたら、それはたぶん最高にゆっくりした気分になれるだろう。
 最近、豆かんが無性に食べたくなっている。「孤独のグルメ」を借りたのと、深夜と日曜の冷房の止まった職場があまりにも暑いせいだ。寒天はべつにそれほど冷たくはないけれど、最高に涼しくはある。それで池上まで寒天を(いつか)食べにいこうと、先週の日曜日に決めた。
 原宿と池上は比較的近い。行くなら今日だ。
 池上の池上本門寺日蓮宗)が、ちょうど庭園の公開をやっていた。ついている。庭自体はあまり感銘を受けなかったけれど、討幕軍が本門時に陣をかまえていたというのは……なんかで読んでいた気がするから、なにか新鮮な気分だった。ああ、そうなんだ、ここが、へえ。五重塔が非常に有名とのことだけど、僕は本堂と日蓮聖人像のほうが印象に残った。とくに日蓮像はいい。アルミ製とは思えないみなぎる迫力からは、重装甲高火力広範囲型ユニット臭がした。
 池上本門寺を見てから「甘味あらい」に行ったときには、行列ができていたけれど、最後には無事ありつくことができた。「贅沢あんみつ」というものを頼んだのだけど、あまりにも贅沢すぎて豆かんからかけ離れてしまったな。
 そうだな、こんな感想だ。餡もおいしい。そこらへんの餡じゃないぜ、これは。白玉も……いい白玉ということはわかる。もっちりと腰のある詰まった白玉だ。桃は歯ごたえを残し、あんずは豊かな甘みをたたえていた。アイスもいい。黒蜜に文句はみじんもない。だが、なによりも寒天がうまい。
 寒天がうますぎて他のがいらねー。
 ああ、寒天だ。この寒天の食感はなんということだ。なんということでしょう。それはしっかりとサイコロのカタチをしているのだが、舌の圧力でこう、はじけてしまうのだ。僕はあの食感をオノマトペで表現しようとしているのだけど、まったくうまくいきやしないのだ。
 表現できない食感がまだまだ世界に眠っている。