劇場版ヱヴァンゲリヲン:破 ネタバレ感想

 TV版エヴァを毎週見てた頃のような、次回への引きでした。これは楽しみ。
 思いのほか「序」の出来がよかったので、期待のあつまる「破」を見てきた。といっても公開一週間後だ。
 今回のエヴァは、シンジに少しやさしい世界になっている。レイも人間味があるし、アスカも少し余裕がある。レイが主導して食事会を開こうとするというのは、ファンフィクションのなかですら見たことないし、アスカのものわかりのよさにも驚かされる。あれ、こいつらこんなイイ奴だったっけ? みたいな。
 そういった「ぽかぽかした」雰囲気はTV版どおりのストーリーが繰り返されることでブチ壊されるのだけど、その積み重ねのおかげか、なんかちょっと男前になったシンジが熱血王道展開を押し通すのだ。あのシンジが。
 新キャラが空気すぎやしないかとか、色々と戸惑いもあったものの、「破」は「序」で作った振り幅を順調に大きく育て、TV版のストーリーラインからの脱却を行った。これは「序」の延長線であって、起承転結でいうと、承でしかない。ここからの展開こそが楽しみだ。TV版ではここからはアスカの戦線離脱、第二レイの死、ミサトさんの監督放棄、トウジとケンスケの疎開、友人の殺害と、シンジから救いをとりあげるイベントの目白押しだ。はっきりいって14歳の少年が耐えられる環境ではない。新劇場版ではこのあたりどうするのか。新キャラが薬になるのか毒になるのか。
 戦闘アニメはなかなか。サハクィエルを受け止めるときの躍動感はいいね。アスレチックビルがニョキニョキ生えてくるのが楽しい。弐号機の多芸っぷりもいい。Airのときの膝手裏剣といい、ギミックが多いのはいいことだ。でも裏モードはいらね。戦闘表現がインフレしすぎて、今後どうすんのかなあと思わなくもない。
 というかゲンドウ。ゲンドウですよ、今回の主人公は。あいつが足元みてねーからシンジが病んじゃうんだよ、死んだ女追いかけてないで、子供生んだ責任取れよ、とはみなの思うところですが、監督も結婚してそのあたり敏感になったようで。腫れ物にさわるようにとはいえ、シンジとコミュニケーションをとろうと健気にがんばっていました。次回も頑張れ。明らかに子供の扱いに慣れていない不器用な親っぷりでした。バルディエル戦だって先に伝えときゃシンジも駄々こねないのにね。
 ゲンドウって「計画通りだ」しか言わないけど、5分前に「ユイ、なぜ私を拒む!」とか焦ってた人が何言ってるんだろうね。息子が帰ってきて「え? え? なんでここにいるの?」ってキョドってたしね。正直に予想外っていえばいいのにね。
 サードインパクトセカンドインパクト時点に戻ってループ再開→「破」のサードインパクト→ループに気づいてるカヲル君が止めた
 って理解でいいのかね。ううん、やっぱり次回が楽しみだ!