燃えよ剣

 新撰組副長、土方歳三司馬遼太郎である。
 「竜馬がゆく」の坂本竜馬が当時として驚くべき視点の高さを持っていたのと対照的に、「燃えよ剣」の土方歳三は非常に視線が低い。竜馬が「世界のなかの日本」を憂いていたのに対して、土方は「自分がどこまでやれるか」という個人的な視点から変わらない。なればこそ、この主人公は魅力的なのだ。