剣玉の剣が刺さった!

 職場の同僚の席には剣玉が置いてある。以前の部署で剣玉ブームがあったらしく、彼はなかなかのお手並みである。
 たまに借りて独学で練習しているのだが、やっと剣の刺し方(正式にどういうかは知らないけれど、静止状態から玉をあげて、その穴に剣を挿す、一番ポピュラーっぽいワザ)がわかった。
 玉をまっすぐあげればいいのだ。
 そして玉をまっすぐあげるためには、地面に垂直に、まったく他のベクトルを加えることなく、ただ垂直に糸を引っ張ればいいのだ。
 糸をまっすぐ上に引くには、柄をまっすぐ上にひけばいい。つまり手首は固定して、ひじから上で移動させる。
 玉を跳ね上げさせすぎてはいけない。柄と玉を結ぶ糸の範囲を超えると、糸の影響を受けて玉が回転する。
 回転なし。垂直方向以外においては静止状態にある玉の真下に剣を滑り込ませて、ワザが完成する。かちゃん、と思ったより静かに玉は剣に収まるのだ。
 成功確率は10回に1回くらいだ。楽しくなってきたかもしれない。