栄え

 「栄え」という言葉も気に食わない。この場合は「はえ」の読み方のほうである。
 噴飯は状況を想像しにくいから好かないのだけど、「栄えある」は一瞬「さかえある」と読みそうになってしまうのが気に食わない。「私達の学校の……はえある伝統がホニャラララ」とどもってしまって、格好がつかない。活字で出会ってもやっぱり一瞬つっかえる。どうしても脳裏で「さかえある」と読んでしまうのだ。一瞬遅れるのだ。邪魔である。何が「はえある」だよ。蠅かっつーの、往人さんのベーコンエッグに入っていいのはセミだけだっつーの。南風かっつーの。なんだよなんだよ、南場突入ですか?うわー誰も30000点行ってないねー、じゃあダマ・ピンフのみゴメンナサイ!つー感じですか。「渋っ!」とか言ってるのはおべんちゃらですから、ほんとはみんな「UZEEEEEE!!」って思ってるから!
 ところが意外なことに、「はえ」と読ませる日本語って多かったようなのだ。
 蠅。岩礁。映え/栄え。破壊。南風。鮠。キ並(手偏に並)。
 考えてみれば「はえ」って二文字だから日本語としてはかなり優先度の高い言葉だ。「は」なんてあ行なわけで、発音もしやすい。ちょっと想像してみると、意味としてはだいたい「障害・とどこおり」を持つように見える。

  • 岩礁はえ)はそのまま船旅の障害物。
  • 南風(はえ)が吹きすさべば海に出れない。(ex.山口県下関市彦島南風泊港;強い南風のときの停泊港
  • キ並(はへ)は原木や米俵を積み重ねたもので、邪魔っけなのは間違いない。
  • 蠅(はえ)が目障り耳障りであることは語るまでもない。
  • 破壊(はゑ)はまさに障害を取り除くことだ。
  • 映え/栄え(はえ)は「ん?すごいな」と目が滞ることを「はえる」というのだろう。
  • 鮠(はえ)はオイカワという魚の別名で…きっと邪魔っけなのだ!

 おおっと、なんだか調べていくうちに「栄え」に愛着がわいてきましたよ。これからは毛嫌いせずにどんどん使っていこっと。うちの家系にも僕自身にも栄えなんてまるでないですけどね。