[徒然] 噴飯

 噴飯って言葉があるけど、あれの使い方がよくわからない。
 中学生くらいまで噴飯って『飯を口から飛ばすほどに激昂している』って意味だと思っていた。「そんなのって噴飯物だぜ」という文は「そんなのってないよな、俺ならブチ切れるね、ボコるね、東京湾だね」って意味だと思っていた。ところがある晴れた日に辞書を引いてみると

ふんぱん 0 【噴飯】 
(名)スル
〔おかしさにこらえきれず、食べかけていた飯粒を吹き出す意〕ばかばかしくて、思わずふき出して笑うこと。
「そいつは―ものだ」
三省堂提供「大辞林 第二版」より 

とある。(ちなみに雨の日に辞書を引いてみても記述は変わらなかった。残念。)
 思うにたぶん、「噴」って漢字がよくないのだ。だって噴火の噴じゃないですか。究極生物のカーズだって宇宙に放逐されちゃうような漢字ですよ。思わずふき出して笑うってアンタ、噴き出すのかよ、汗かよ温泉かよってなもんで。「おかしくてふきだす」を「可笑しくて噴出す」とか得意げにインテリっぽく書けたのはせいぜい明治時代までだと思います。今でも使ってる奴は夏目漱石シンパですよ、たぶん。きっと旧千円札も使わずに溜め込んでるんだ。
 現代平成の書物でも、噴飯という言葉は頻繁に見かける。新聞記者がコラムを書くと使いたがる。そのたびになんだかフに落ちない気分になるのである。