NHKにようこそ!

 最近思うのだが、この「徒然」という分類はあんまりアバウトすぎてあまり分類として役に立ってない気がする。だからどうだといわれると別にどうかするわけでもないんだけれども。


 そこで唐突だが、アニメの分類をする。
 『アニメにはふたつの種類しかない。家族で見れるアニメと、一人でしか見れないアニメだ』
 人によって線引きが異なるとは思うけれど、前者が鉄人28号だとしたら後者はニニンがシノブ伝となるだろう。ニニンってなーに?という人もいるだろうが、もしこのサイトが知人バレしたときに「あー、ケニヤってやつはニニンとかいうアニメ見てるらしいぞ。前から陰気でオタクくせーとは思ってたが、もうそのものずばりだな……幻滅しようもないな、そのまますぎて」というコメントをもらうかもしれないアニメである。うむ、わかりやすい。
 さて本題だが、僕が現在見ているアニメで時間帯的に家族で見ざるを得ないアニメというものが存在する。家族で見たい、ではなく、家族で見なければならない、である。それはNHK総合日曜午後7時半?という超ド級ゴールデンタイムに放送されるからである。NHKの7時のニュースをだらーっと見てると唐突にアニメになるのである。別に見ようとも思っていなくても勝手に始まり、その時間は飯を食べはじめたころなので消すわけでもなくそのまま見てしまうのである。
 この7時半強制視聴型アニメは去ること今年の4月からはじめられた。記念すべき最初のアニメは手塚治虫の傑作「火の鳥」のアニメであった。そして今放送されているのは、「名探偵ポワロとマープル」。
 少し想像する時間をとってほしい。このアニメ、主役は誰なんだろう?ポワロだろうか?マープルだろうか?オムニバス形式で交互に?それともルパン対ホームズみたいに対決するのだろうか?
 想像してみてください。あなたは今、番組のタイトルしか知りません……



 想像しましたか?では答えを書こうと思います。なんとその主人公は
http://www3.nhk.or.jp/anime/agatha/maybell.html


 誰?


 火の鳥が終わって番組宣伝が流れたとき、テレビの前の視聴者の大部分がずっこけたはずである。なんだこいつ。この子誰ですか?答えはNHKオリジナルキャラクターです。HAHAHA。
 ポワロのアニメ初回が始まり、オープニングが流れたとき、テレビの前の視聴者の大部分がずっこけたはずである。なんでこの子ばかりが画面に映るのだ?ねぇ、ポワロは?マープルは?
 なんとマープルにおいては第一回には姿も形も登場しない。話題にもほとんど上らない。そのかわり、このオリジナルキャラ・メイベルの背景がしっかりと語られるのである。ポワロが解決する事件もショボイ!
 なんだこのアニメは。タイトルを「メイベル(と名探偵ポワロとマープル)」にしたほうがいいんじゃないのか。視聴者はポワロが見たいんだよ、16歳のオリジナルキャラなんてどうでもいいんだよっ!


 そんな感じで、不満たらたらのまま見続けていたのだが、最近になって雲行きが変わってきた。慣れてしまったのである。穏やかに事件を解き進めるマープルの横でうろたえつづけるだけのメイベルとか、残酷な殺人事件にショックを受けるメイベルとか、眉をよせながらつらそうな表情を浮かべるメイベルとか、もはやメイベルのいないポワロなんて想像できなーい!って感じなのだ。メイベルばかりにカメラを執拗に寄せ続けるオープニングも、たまに写るポワロとマープルが邪魔でしかたないって感じなのだ。これはまずい、完全に毒されてしまった。
 考えてみれば、NHKというのはカードキャプチャーさくらとかジーンダイバーとか飛べ!イサミとか、そーいう少女アニメを数多く世に送り出してきた、まさに少女アニメのプロ中のプロ、世界最強唯一の国営ロリアニメ製作所なのであった。総合日曜7時半にアニメを放送するのなら、NHKのアニメ担当は少女アニメマニアであるのだから、己の同志を量産すべく当然その手のアニメを流すのである。
 誰もが見てしまう時間帯で、火の鳥という万人向け放送で客を完全につかみ、その後ポワロという人畜無害な装いの裏から蠍のように刺すのである。これがNHKのやりかたなのだ。一人で頬をたるませながら見るアニメを家族全員に見せてしまう、NHKの罠が僕らを襲うのだ。
 もうだめだ。このままではNHKを見ている全国お茶の間の皆さんが少女アニメ愛好家にされてしまう!


 ところでうちの母は「映画のポワロの方がいいわよねぇ」と言っている。
 そりゃそうだ。