6月の分を追加しました。正直な気持ち、一部削除したい。


 図書館にCDを返しにいったついでに「最近返却された本」棚をチェックしてみると、乙一のZOOが置いてあった。市立図書館でも大学図書館でも常時貸し出し中という、乙一の中でも図書館利用者愛好度の高い一冊である。せっかくお目にかかれたので、これ幸いとその場で読んでしまうことにした。ちなみにこんな本。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087745341/250-9064956-1933047
 乙一の文体というのはちょっぴり特殊で、平易な文章なのだが、どこか感情が一歩後ろにさがったようなピントはずれの書き方をする。必要な描写はきちんとされているのだが、何かが抜け落ちているのである。無理やり例えれば漂白剤をたっぷりつけて洗ったランニングシャツなのだが、こんな例えで僕のいいたいことをわかってくれる人もいないだろう。星進一のショートショートというか、ドラえもんというか、異常を異常のまま許容してしまう精神が全編を覆っている。まぁとにかく、このZOOという短編集は乙一のその文体を逆手に取った、実にどこかがズレている本である。
 乙一ジョジョ第四部を舞台としたオリジナル小説を書いているとのことだが、この文体でジョジョを書いたら一体どうなってしまうのだろうか。ちょっと想像してみた。


「おや、何をやっているのですか」
「女の人の手首をなめているのですよ」
「変な人ですね」
「ほっといてください」
「じゃあ僕は学校に行きますので」
 学校に着いてから手首をなめていた人のことばかり考えていたせいで授業に身が入らなかった。

 ところで僕は乙一はホラー系しか読んだことがないのだが、彼のいわゆるせつない系とやらは何故かどこの図書館にも置いていないのである。図書館愛好家というやつはどうもことごとくスプラッタファンのようだ。