ジョジョの小説

 乙一ジョジョ小説がやっと完成したらしい。とりあえず買ってみた。
 400ページほどあるようだ。まだ150ぺージくらいしか読んでいないが、明日には読み終えるだろう。
 電車の中吊り広告で広告を見た。仗助が横たわるバックに杜王町が広がるイラストの広告だ。なかなか魅力的なイラストだった――中吊り広告泥棒になろうかと少し悩んだすえ、結局やめた。なんにせよ、一冊の小説で中吊り広告が出るというのはわりと珍しいかもしれない。すごく珍しいというわけではないにせよ。
 本屋で探してみると、文庫だと思い込んでいたのだが、ハードカバーだった。ハードカバーは高い。1500円もする。しかもご丁寧にビニールでパッキングされて立ち読み不可になっていた。パッキングは店がやったのかもしれなかった。
 乙一の文体は「〜だった」「〜だった」と飾り気なく書かれるもので、それが逆に妙な緊迫感をかもしだす独特のスタイルである。ただ単に他の書きかたを知らない可能性もある。だがしかし、読みやすいことはいいことだ。そういった乙一スタイルは今回の小説にも適用され、ジョジョの登場人物たちも乙一っぽい挙動をするようになっている。廣瀬広一とかは「考えながら話す」タイプであることが原作では表現されていた(例えば、話しながら前言を捕捉する言葉を繰り返すことが多い)が、乙一小説ではシンプルな言葉遣いを使っている。
 しかし乙一ジョジョ小説は、かなり、かなり昔から書かれていたはずだ。どれだけかかったのだろう。ジョジョ4部連載中に立ち上がった話のはずだ。ジョジョ4部といえば、僕が小学生から中学生のころに連載していた。エコーズACT2が羽化した回では立ち読みに夢中になりすぎて新幹線に乗り遅れそうになったし、岸部露伴が広一の顔からページを剥ぎ取って高笑いしていた頃には学習塾で幸田露伴を使って国語の問題を解いていた。あの頃の空気を思い出す。あの頃、ジャンプは厚く、大きかった。