学校に行こう

 気分が塞ぎこみがちだったので、とりあえず散歩にでかけてみた。
 散歩といっても近所である。自宅から徒歩で散歩して、徒歩で帰ってくる。目的地は昔に通っていた小学校だ。時刻は昼の二時。出かけたときは薄日だったのが、歩くうちに晴天になった。期せずしての散歩日和だ。
 学校に近づくと、この街もけっこう田舎であることを思い出す。住宅地の隙間にちらほらと、小さい空き地がある。子供の頃に見慣れた草が茂っている。たぶん、夏にはオンブバッタが飛び跳ねるのだろう。僕の住居近くは全て駐車場に変わってしまったけれど、まだ空き地は空き地としていてくれている。
 学校の門構えはそのままだった。驚いたことに、駄菓子屋がまだ開いていた。以前に閉まったと思っていたのだけど、どういうことなのだろうか。13年ぶりの駄菓子屋には、子供達が集まっていた。僕なんかはお呼びでないようだ。うれしいような、少し寂しいような気分で学校をあとにした。