父親達の星条旗

 このあいだ観てきたので、忘れないうちに感想。
 硫黄島星条旗を立てる瞬間の写真は、戦意発揚のために、国債を売るために使われた。写真に写った男達は否応なく、英雄としての振る舞いを強制された。ただ旗を立てただけ、ただ写真に写っただけなのに。何のために戦ったのか? 何のために死んでいったのか? 戦争で人生を狂わされた男達の物語。
 ひたすらに苦しい映画だった。
 劇は主に、戦地から引き上げられて、国債宣伝のための米国巡業で進行する。まあ、ここでナイーブなやつがいて、俺はホントは英雄なんかじゃないんだと酒に逃げ込んだりするし、英雄扱いされてむしろ喜んでるやつとは喧嘩始めるし、もう雰囲気最悪。マジ、オールウェイズ修羅場。
 しかも、10分ごとに戦地での様子がフラッシュバックされるのね。硫黄島ってのは日本大善戦の稀に見る戦闘だったらしく、上陸したアメリカ兵はそりゃ大変だっただろうなと思う。相手は死ぬ気だもんね。
 つまり鬱屈したストーリーラインで気が滅入るは、大音響轟くドンパチシーンで神経すり減らすは、すごく、すごく疲れる映画だったといえる。終わったときには椅子にもたれた背中に汗がしみていた。
 たぶんこの映画のせいで風邪引いたんだと思う。
 鬱屈したいときや、抵抗力を弱めたいときはオススメ。まあ、ラストの纏め方はそれなりにきれいだし、考えさせられるところはあるね。