人を見よ

 なんか日々があっという間に過ぎていく。梅雨も明けた。
 二週間前だったか、日曜日に職場のフットサルに行った。先輩とバスで横の席になって、後ろの席はなんだか盛り上がっていて、僕と先輩はそちらに乗れずにうまく会話が弾まなかった。うん……よくない空気だ。僕は外を見回して、話題を探してみた。コンクリートから、雑草が生えている景色が流れている。
「なんか、夏ですねえ」
「え?」
「コンクリートから雑草が生えてたりするのを見て、草の匂いを思い浮かべると、なんか夏が来たんだなって気分になりません?」
「センシティブだねえ」
「センシティブ? ああ、そう言われることもありますね。でも、そういうことをせずに先輩はどうやって夏を感じられるんですか?」
「気温とかさ。あと、人の服装とかでもわかるよ」
「服装……」
 大発見。
 人を見ていれば季節がわかる。
 この発想はなかったなあ。というか、話題を探すときにいつも人のいない方向に首を回しちゃってるなあ。そうかそうか、人は人を使えば大抵の用は事足りるのか。
 しかしスーツで通勤してると夏はクソ暑いだけですね。