時をかける少女

 池袋は立ち見だったけど、面白かった!
 過去に戻る「タイムリープ」の力を手に入れた女子高生が、ノーテンキに能力を使いまくった挙句に恋話に巻き込まれてあっちゃこっちゃに跳躍しまくった挙句に、しかし、という話。
 劇場内で笑いがこぼれるコメディシーンからトントン拍子に話が進み、なんてことない日常とその落差、そして千昭が実は……というどんでん返しの展開もなかなか衝撃的だった。細田守の構成はブッ飛んだ破壊力はないけれど、丁寧に緩急と反復を活かして演出の効果を倍増させている。
 動画も構図も背景も問題なし。しいていえば、ハッとさせられるほどの映像美みたいのはなかった気がする。まあ、そういうのがないおかげで繰り返される日常感が作られているのだと考えることも出来る。マイナスではない。
 幾つか目に留まったことをピックアップ。

  • 時間の演出1:まことがタイムリープを意識して、再現を試みる土手の演出。右手から部活のジョギングが走ってきて、平行に左手に走り去っていく。遅れて左手からは自転車が走ってきて、右手にやはり並行に抜けていく。この場面でカメラの切り替えはなく、まことは土手を登っていくことでこの横方向の線を縦方向に交わっていく。この横の動きが時間軸であり、まことはその枠から外れているということをここで暗示させている。細かい。
  • 時間の演出2:川の流れは絶えずして、というように、水の流れは僕らに時間の歩みを意識させてやまない。蛇口から水滴がポタリポタリと落ちていくのも、確かに時間が流れているという演出でよく用いられる手法のひとつだ。んで、さっきのタイムループの場面は土手で、河が流れている。んで、水切りの水しぶきを利用して時間の逆流を表現する。基本に忠実。

 そういや、水+時間逆流といえば、最近こんなのを見た。
 http://japanese.engadget.com/2006/08/09/time-fountain/

  • やたら横に広い時計。あれはタイムリープした人の意識時間(この場合、日本時間)なのか、それとも何かの絶対時間、アカシックレコード的な時間なのだろうか? あの装置が管理する絶対時間なのかもしれない。だとすると、桁数が無駄に広いのはきっと技術者の自己満足に違いない。
  • AAを使うことで記憶に残させるのは良い手法だ。

 ともかく、万人にオススメできる強力なアニメが実は放映されていたのだなあと気づかされました。なんでこれ、ランキングとかに出てないの?