アレグリア2 原宿 筋肉少女帯

 昔、夏服のスーツを青木で買った。そのときに適当に書いた懸賞が当たって、「アレグリア2」なるもののペアチケットを手に入れてしまった。どうもサーカスであるらしい。
 さて、ペアチケットである。女の子でも連れて行けば、きっとサーカスなら盛り上がる。筋肉少女帯もそう歌っている。サーカスに行けば君ともやりなおせるなんて思ってしまうから、サーカスが来る前にこの町を出るよと。
 だけど僕には女の子なんてのと縁がないので、たっぷり二週間くらい自分の寂しさをかみ締めたあと、結局は中高時代からの友人・男性に誘いをかけることにした。なんだか無性にやりきれなさが残った。

 さて、今日行ってきた。
 なんてったって場所が原宿なのである。
 僕は京極夏彦の「魍魎の函」を読みながら、桜玉吉の「しあわせのかたち」を思い出して、ほぅ、と呟きながら筋肉少女帯の「月光蟲」を聴きながら山手線に揺られていた。器用である。そしてアルバムが一枚終わり、イヤホンE2cから「俺は高木ブーだよぉー!」という叫びが轟いたあと、車両は原宿のホームに滑り込んだのだ。
 無性に場違いな気分にいたたまれなくなったけれど、改札の向こうに知った人たちの顔を見て、それで安心した。

 屋台から香るベビーカステラの甘さを抜けて、代々木国立競技場内部を遠回りしてチケットを交換した。そのあと、原宿をブラブラと散歩をした。いくつか面白い店もあるのだが、服屋があまりに多くて辟易する。僕は服にコンプレックスを持っているのだ。
 KDDIデザインスタジオに行って、携帯をいじる。ホットモックはやっぱり良い。触れなければ選べない。3Fに対戦型STGがあった。東方の新作の元ネタだろうか。光ファイバーで対戦できるということで展示されているようだったが、明らかに通信がボトルネックで操作性が悪かった。それにTV二台で対戦させるなら、画面一杯を自分用に使えるレースゲームやFPSにすべきだと思う。KDDI東京電力とくっつくのはいいのだが、もう少し頭を使って欲しい。企画者にマトモなゲームオタクの一人ぐらい、いなかったのだろうか?
 そのあと明治神宮に行った。若者が少なくて安心した。外に出たくなかった。巫女さんを見て、ほぅ、とため息をつきたい気分だった。

 そんなこんなで原宿に違和感を持ったままアレグリア2が開幕してしまったので、僕は本当に素直に楽しめるのだろうかと心配していたのだが、実際には全く心配なんて要らなかった。サーカスはサーカスであって、僕は拍手をバチバチバチバチと鳴らして、ピエロにはグヘヘとだらしない笑い声を上げた。楽しかった。

 サーカスを見終えたあと、てきとうにラーメンをすすって、解散した。「誘ってくれてありがとね」といわれたので、「ああ、うん」とてきとうに返した。僕の頭に、考えても本当にしょうがない言葉がよぎってしまった。
 そういう言葉は女の子に言われたかったなあ。

 僕は青春にコンプレックスを抱えているのである。いだいてかかえているのだ。