オタクなら乙一だろ!

 乙一といえば「僕は世間一般の人とうまく会話ができません」「ひきこもってます」といった主人公が、どう考えても頭のオカシイ人たちに出会ってなんだか爽やかにホラーをしてしまうショートストーリーを次から次へと作るライトノベル作家兼ミステリ作家である。
 乙一もまた、元・教室片隅小説野郎なのだ。乙一はこんなことを言っている…「名前が売れ出してから、モテるようになってきたんですよ。なんだよ、俺が学生だったころはあんな扱いしやがって、って感じですよ」
 そういうわけで、乙一の書く主人公にはすんなり入り込める僕である。
 「失はれる物語」を読みました。相変わらず頭オカシくていい感じです。あとがきでも書いているけど、表題作の「失はれる物語」なんて完全にイってしまっている。毎日通いに来てくれる妻なんていねえ! とか身も蓋もない突っ込みをする気力も失せるほどに変態的で、ほんと乙一はさっさとジョジョのノベライズをすべきだと思います。完全乙一風味でいいから。