ハプニング続きの姉の誕生日
帰り道でおっさんのために119をかけた。
最近、帰宅途中のイベント遭遇確率がいやに高い。二日連続で京浜東北線が遅延したり、ヒスパニック系ドイツ黒人とコミュニケーションしたり、おっさんのために119をかけたりする。
今日は23時10分過ぎくらいに家に着くはずであった。遅いは遅いが、致命的ではない。そんな僕の帰り道の交叉点には自転車が転がっており、おっさんが横たわっていたのだ。
それだけなら「まあ、世の中そういうこともあるよね」とスルーして跨いでいくところだが、そのおっさんは活きのいいことに僕に手招きしていたのだった。それで僕は今日も耳栓型イヤホンを外して、レディオヘッドの「Packed LikeSardines In A Crushd Tin Box」に別れをつげて、若干イヤな顔をしつつ、おっさんの話に耳を傾けたのだった。
彼の主張はこうだ。
- 私は酔っている
- 自転車で転んだ
- 私は酔っている
- 私も歳だ
- 上尾の孫に会ってきて、帰りに飲んだ
- 私は酔っている
- 持ち上げてくれませんか
断る!と帰れればそれがベストの生き方なのだろうが、僕は基本的に頼まれれば嫌がりながらも手を抜いて付き合うタイプである。手を貸し腕を貸し、「こいつ新手の詐欺・スリのたぐいじゃねーだろーな」とか「イタリアのアイスクリーム強盗とか」を疑いつつ、おっさんを楽な姿勢に横たわらせることに成功。するとおっさん
救急車を呼べ
とおっしゃる。あのね、あなたそんな重症じゃないでしょ。救急車って公共の資源ですよ。もっと重大なことに使うべきですよ。……とは思うものの、どうせ月曜の夜であるし、救急隊員の予定がイブのごとく埋まっているわけでもないだろう。僕のイブの予定のごとく、ガラ空きであろう。おっさんも歳であるらしいし、転んでガッカリしている気分もなんとなく想像がつく。左足も動かないらしい。骨折でもなければ捻挫でもないのに動かないらしい。呼んであげてもいいだろう。今時の若者も少しは言うことを聞くというところを見せてやろうじゃないか。家族を呼べると手間が省けたのだが、どうも家には誰もいないらしい。寂しいおっさんである。
それで119をかけ、蕨市の交叉点だと伝え、蕨市消防署に繋がれ、もう一度蕨市の交叉点だと伝え、周囲の特徴物を伝え、氏名と携帯電話番号を伝え、待つこと7分。救急車がやってきて、僕はおっちゃんの自転車に鍵をかけて、手をオイルで汚して帰ることにあいなった。
だから今日の帰宅時間も23時半を回ったのであった。
で、風呂に入った。
家に帰って軽く野菜を摂り、風呂に入った。
前の土日に図書館にCDを返し損ねたので、母親に返却してくれるよう頼む。ピンクフロイドとクイーンなのであるが、母親は懐かしがってクイーンをかけてしまった。だから僕の入った風呂場にはかすかにクイーンの「WE WILL ROCK YOU」が響く。
ざざーん。「うぃーー うぃる うぃー うぃる ろっきゅぅ」ちゃぽちゃぽ。「うぃーー うぃる うぃー うぃる ろっきゅぅ」ちゃぽちゃぽ。うーむ。
これはこれで良し!