ワイルダネス 3巻

 B級ガンアクションを漫画でやらせたら右に出る人はいない、伊藤明弘の弾丸バラマキ漫画であるところのワイルダネス3巻である。先月の連載があまりに面白かったので、かなり今更だけど3巻を買ってしまった。
 ジオブリーダーズが「お札」や「ナイフ」などで弾丸消費量が減ってしまったのを反省点にしたのだろうか、とにかくワイルダネスは薬莢フルサービステンコモリの耳が痛くなるほどの銃撃戦が展開される。3巻は元麻薬王の屋敷での壮絶な乱戦に始まり、メキシコ街内での突然の遭遇戦に終わる。大変意外なことに、話が進んでいるのだ。大変意外なので、うまく8巻くらいで完結させてほしい。
 ガンアクションの美学は静と動にあると思う。ビタリと固定された腕と腕が相手を指し示し、構図が空間が時間が静止する。そこに何かが起こる。そして必殺の弾丸が射出される。轟音。これである。伊藤明弘はこの静と動のつなぎ方が圧倒的に上手い。これで張りつめるような静と乱痴気騒ぎの動をかけるのだから、彼のガンアクションが崇拝されるのも当然なのだ。良い映画の良いガンアクションがずっと続いているような感じ、それが伊藤明弘である。アクション映画好きが読まないのは人生の損失だと断言できる。逆にアクション嫌いが読むことにはまったくの価値がない。
 しかし、この人の単行本カバーのセンスの無さは狙っているのだろうか? この人のカラーは致命的にダサい。ダサすぎてカッコいいを通り越して救いようのないほどにダサい。いっそカバーもモノクロにしてほしい。