たそがれ清兵衛

 二人の娘とボケた母親のために、同僚の誘いを断ってたそがれどきには帰ってしまう清兵衛を、人々はたそがれ清兵衛と呼んだ。
 この時代劇はいい。いいことは題名を見ればわかる。まず響きがいいし、次に内容が気になってくる。いったい何がたそがれなのか。清兵衛という男の苗字がたそがれなのか、たそがれに何かしでかすからなのか、ラストシーンがたそがれなのか、たそがれたりするからなのか。そういった疑問は、始まって10分で解決されるのだが、この題名はかなりのストライクである。聞けばなかなか忘れられない。
 この映画は清兵衛さんがカッコよすぎて冒頭から涙をこらえるのに必死なのですが、なぜ僕は涙をこらえるのに必死なのでしょうか。なぜ彼が幼子たちのためにたそがれどきの道を歩いていると泣けてくるのか。何故だろう。こういう生き方を望める人もいるのだなあと思うと泣けてくる。なぜだ。
 あと、殺陣がいい。小太刀の型が美しい。
 これはオススメ。