「チッチッチ、駄目だよ、そりゃ。ラジオを聴かなきゃ駄目さ。本を読んだって孤独になるだけさ。そうだろ?」
  「風の歌を聴け」 /村上春樹


 図書館に三島由紀夫の「金閣寺」を借りに行く。貸し出し中。京都観光ガイドブックの欄も空いている。誰だ!国家の陰謀か!
 僕はあまり本を読まない。ときたま読もうと躍起になることもあるけれど、それは昼まで寝ていて起きたらネット漬けでモニタに目を張りつけてニタニタ笑っている自分を自分で厭になったときに、それなりに本を読む自分というものに逃避するためのものである。だから履歴書の趣味欄に「読書」と書くのは、他に書けるものがないからそう書くんだけど、ほんとは抵抗感がある。そんな僕だけれども、無条件で本を読みたくなるときもある。大きな本屋に行ったときと、図書館に入ったときである。つまり周囲を完全に本に囲まれたときだ。このときばかりはもうお手上げして本を読まざるをえない。だって読まれたがってる本に囲まれて、ひとつも読まないなんておかしいじゃない。それで今日も何冊か適当に背表紙で選んで読んできた。図書館が本屋と違ういいところは読みたいと思った本がすぐさまそのへんに座って読める点である。本屋での立ち読みはそれなりにハードだし、取り扱いに気を使う。買ってつまらないと腹が立つが、借りてつまらなくても学生の時間は無駄にたくさんあるから腹も立たない。
 今回は京都のガイドブックを調べに行ったので、勢い京都関係の本を読む気になった。まず、京都人を自称する女性が町屋の良さを滔滔と語り続けるコラム集と、路上観察学を名乗るグループのVOW系京都探検報告&写真集の二冊。二冊で重なった部分は、京都に棲む人は境界(人、建物)というものにかなりの注意を傾けていること、百年を超える工夫と小細工の集積で、京都の町並みには異形が潜むということ。そういえば「日本の文化論」という講義で日本文化の粋は仕切りにあるのだ!とかそんなことを習った。京都旅行の際の注目点として町並み観察に役立つかもしれない。三冊目は京都で金を使って何を食ったり買ったりできるかという写真集。右ページに所要額と説明があり、左ページを一杯に使って写真が載っている。「京都の水:0円」から始まり、なんとかいう饅頭屋さんの豆饅頭と段々もりあがりはじめ、しまいにはなんとかいう料亭のなんとかいう料理などにたどり着き、最後の最後で再び「賀茂川の水に戯れる:0円」に回帰する。著者はとにかく水だ、京都は水なんだ!と言いたいようである。食い歩きをする際には面白い着眼点を提供してくれるかもしれない(今回は食べ歩きは予定してないけど)。
 蕨市立図書館には「最近返却された本」棚と「最近入品した本」棚がある。返却棚にカラシニコフ銃に関するハードカバーがあったので借りて帰る。朝日新聞の連載が本になったらしく、ちょいと感情的な意見が多かったかなと思った。でも内戦紛争無政府地帯を語る際には、それくらいの方がちょうどいいのかもしれない。
 家に帰って、「INSTANT WORD POWER」をやる。語源から英語語彙を増やそうというドリル書。結構面白いのでハリポタそっちのけで毎日10ページ40分ずつ進めている。
 うん、なんだ、今日は結構活字に触れたな。悪くないね。



 さあて、2ちゃんねるでも見るか!