あー、あー、どうしよう 高く積み上げたこの仕事

 先週の日曜、秩父神社に行ってきた。
 秩父神社の祭神はオモイカネという神様で、八百万の知恵担当である。最近の仕事の煮詰まりっぷりと追い込まれっぷりと自分の無能っぷりにほとほといやけがさしたというのか、「そうさあ! 俺はダメ人間さあ! 知らなかったとは言わせねえ!」と逆ギレしたくなるけど逆ギレする度胸がないというのか、7%くらいはいっそ死んで墓に入りたい気持ちがいりまじるというのか、まあつまり、早い話がもう僕に残された道は神頼みしかないのだ。
 たすけてえーりん
 オモイカネの呼び名は色々あるらしく、そのうちひとつが八意思兼(やごころおもいかね)。つまりえーりんえーりんえーりん
 たすけてえーりん
 そんなえーりんが祭られている秩父神社にお参りに行ってきた。一人で行くのも何なので、友達についてきてもらった。持つべきは友人。
 秩父神社ではちょうど川瀬祭り、というお祭りが行われていた。京都の祇園祭を輸入した柱立てやら、神輿の水洗いなどをしている。
 ところで京都の祇園祭といえば八坂神社、八坂神社といえばスサノオなのだけれど(Wikipediaを見ながら書いてるんだけど)、オモイカネの境内でスサノオの神事を行うってどういう意味があるんだろう。騒げればそれでいいのか、実はふたりは仲良しなのか。知恵者と荒くれ、明らかに相性が悪いと思うんだけど。
 さておき。
 僕らが見れたのは神輿の水洗い。川瀬祭りのメーンイベント。
 神輿を荒川(神社から徒歩十分)の浅瀬まで持っていって、川面に浮かべて水をぶっかける。そして清められた神輿に供物が捧げられ、舞踏があり、祝詞があり、また神社に帰っていく。荒川まで運んでいくときは掛け声やらでにぎやかなのだけど、式になるとさすがに静かなものである。僕はというと、途中で眠くなってしまった。
 そんな静かな川べりとは別に、秩父市内の祭り用遊歩道には出店が並び、そこをちょっとした大きさの山車が行き来している。この山車、十数人の人力で押したり引いたりで動かしている。その山車内部に太鼓があって、常に打ち鳴らされていて、町内はなかなかにぎやかなのだ。
 静かで眠い川べりと、騒がしい町内と、ふたつぶ美味しい祭りなのかもしれない。僕はゴメンだけど、山車を引いたりする人はきっと良い思い出になるのであろう。たぶん。山車に乗ってた小学生は疲れきった顔してたけど。
 みんな、青春をエンジョイしてくれ。僕のことなんか忘れてくれてくださいね……。
 ……そうそう、おみくじをひいたら大吉だった。
 賽銭を入れて、願ってみた。
 えーりん、なんとかなりませんか。
 回答なし。
 ……。
 まあ、そうだよね! えーりんは姫様ひとすじだもんねっ!

神事を執り行うために賽銭箱を片付けられた秩父神社。おお、賽銭箱のない神社って、ちょっと吸い込まれそうだ。
個人的に、オモイカネはメガテンの脳味噌で物理攻撃に弱いLv30代のアマツカミの印象が強いなあ。