龍勢祭

 埼玉は遠き秩父、皆野の椋神社に「龍勢」を観に行った。見事な晴天であった。
 龍勢とはロケット花火の大型のようなもの。松の木をくりぬいて作った筒に火薬を詰め、火の反作用で数十メートルの高さへ垂直に飛翔する。江戸時代から続いている空への挑戦である。ちなみに観光ポスターでは「空」と書かずに「宇宙」と書いて「そら」と読む。君は生き残ることが出来るか。
 僕は昼から参加したが、祭りは朝9時から夜17時まで行われ、35本の龍勢が宇宙を目指す。無事に飛び上がるものもあれば、地上で爆発するものもある。印象としては成功と失敗は五分五分といったところ。
 龍勢は飛ぶ。一年の祈りをこめて飛ぶ。あるいは飛ばない。その姿たちには何かしか感じ入るべきものがあるように感じられたが、しかし直射日光下で彼らを見つけ続けた僕は翌日に熱を出してダウンすることとなった。