簿記の勉強

 69点だった。研修が始まったばかりの4月の頭、受けた簿記3級のテストの点数が、である。
 それで今日は簿記3級の勉強をした。明日にテストがあるためだ。開発の会計部門に配属されたがゆえの責務である。最低限の知識を新卒に持たせるための関門というわけだ。
 僕はこう見えても商学部でわりと真面目に勉強したクチだし、簿記2級の資格だって持っている。2級では威張れないことは先刻承知ではあるけれど、それでも3級なんざチョロイと証明してくれる資格ではあるのだ。だが、久々に簿記のテストを受けてみれば前述の通り、カンペキに忘れていた。思い出しながら解いた。簿記の検定試験は7割が受給の条件である。つまり、まごうことなき3級落第だった。
 よくよく思い出してみれば、僕が真面目に聞いていたのは一般教養の授業だったと思う。宗教学の豆知識(「宗」という文字は、屋根と祭壇と生贄と流れる血を表している)は今でも思い出せるが、会計学については授業で具体的にどんな解説が為されていたか、思い出せない。まだ英語の方が授業風景に記憶が残っている。
 まあ、そんなもんだよな。そう思いながら、今日は簿記の勉強をやっていた。
 これからしばらくは雨が続くらしい。ヘッドホンから流れる音楽の向こうに、雨に濡れたアスファルトを走る車の音がさあさあと響く。合間に、たかたかと電卓の音。


 おお、なんだかしんみりと雰囲気あるじゃないのと1人で盛り上がっていたら、母親が帰ってきて晩飯のカレーを作り出した。ありがとう母さん。空気読め母さん。