「雲の向こう、約束の場所」@ライズエックス

 新海誠のメジャー(?)二作目。
 前作「ほしのこえ」30分弱をたったひとりで作り上げ、一部界隈から熱狂的な支持を受けた人です。富野監督と対談なんてやっちゃって、こんな注目されていいのかこの人。その二作目。
 「なんだ、すごくきちんとした映画じゃないか」というのが最初の感想。一時間半の中に物語が複数織り込まれていて、ストーリーラインも淀みなく親切に流れていく。前作が「作りたい」映画だったなら、今度のは「見せたい」映画だったのではないだろうか。マイルドに爽やかに映画は進み、すっきりとした終わりとなる。
 特色のあの雲、そして光の表現もタップリとあってファンの期待を裏切らない。今回も音楽はいいし、効果的に使われていると思う。人物の作画はプロに任せてあるから安心だ。公式サイトの予告編をダウンロードして、美術なりストーリーなり音楽なりに感じるものがあったら見に行って損はない。
 特に気に入ったのは、柱の形。円柱だと思い込まされて、しかし、ついにたどり着いた柱が四角柱だというのは、なにか象徴的で感じ入るものがある。鏡のように映し出されるベラシーラ、雲、空も美しい。雲が美しいのはいい。劇場を出た後に見る飛行機雲にロマンを感じてしまうくらいだ。
 ただ、こいつら高校生じゃなくて大学生だろって気はする。岡部がまんまジェット(カウボーイビバップ)じゃねえかとも思う。爽やかすぎてフに落ちないところもある。また村上春樹か!と……これはいいか。あと前列の人、映画中に髪を何度もかきあげないで。