「NHKスペシャル 地球大進化」

 母が冬ソナを標準で録画し続けて、我が家のHDDレコーダーの容量はもはや風前の灯火である。消すかDVDに落とすかしろと提案しているのだが、消したくはない、DVDの金がもったいないと実におばはんらしい答えを返してくれる。逆らっても仕方がないので、昔に録画してほったらかしのものを消化して消去することにした。
 地球大進化の第4回、「大量絶滅 巨大噴火が哺乳類を生んだ」。7月放送だから、5ヶ月以上ほったらかしにしていたわけだ。
 すげー適当に内容をまとめると、パンゲア完成→内圧上昇→巨大噴火→二酸化炭素メタンハイドレード融解→温暖化&メタン反応で酸素濃度急低下→絶滅ヤッホー→これが逆境だ!→大進化という流れ。鳥類の気嚢と哺乳類の胎生が、もともとは低酸素環境への対抗のために作られたものだというのは興味深い話だった。
 4回目が気に入ったので、たまたま今日放送していた第6回も見てみたら、これが総集編だった。この番組としては「逆境ないところに進化なし」と言いたいらしい。そして人間は頂点に君臨している今こそ、自滅への道を突っ走っているのだとありがちな警鐘を鳴らして番組は終わった。
 締めくくりはどうかと思うけど、進化には苦境が必要だというのはその通りなんだろう。変わる必要がなければ変わる理由がない。しかしそれでも人間は手を変え品を変え突っ走り続ける。何故なんだろう?知識欲があるからだろうか。キートンが言っていたように、学ぶことが人間の責任だからなのだろうか。
 なんとなく、逆境ナインを思い出した。

スタンドの校長はチームの熱気を見て、いても立ってもいられない。思わずダッグアウト真後ろのフェンスに駆け寄った。
“やつらは逆境がバネになる。ならばワシも一発『喝』を入れ、やつらのやる気の火に油を注いでやろう!!”
「聞けいっ!不屈っ!!この試合でもし負けて校長室に優勝旗を飾れなんだら、そのとき野球部は廃部じゃっ!!いいなっ!!」
クワッ!不屈が鬼神の形相で校長に振り返った!
「ふざけるなっ!!俺たちはそんなことの為に戦っているんじゃないっ!!」
ビクッ!たじろき、驚愕する校長!見開き1ページが不屈の顔面のアップ!!
「そんな小さいものの為に戦っているのではないっ!!引っ込んでいてもらおうか!!!」
「では逆境はもういらんというのかっ?」
「逆境か…懐かしい言葉だ…俺は今、どうしていいか分からんほどに本気だ!
逆境の力を借りるまでもないっ!!!」
「すごい、お前はすごいぞ不屈!!記憶を失って、さらに一段といい漢になりおったあ!!」
「記憶を失ったという、後ろ向きな言い方はやめて下さい!!」
「おおっ、で、ではなんと!!」
「過去を捨てたのです!!!」

 なんにせよ、悪くないNHKスペシャルです。明日の深夜から一挙再々放送するらしいので、見逃した人はチェックしてみるといいかも。