[本]円環少女 1〜4

 意外とイマイチだった。
 この小説は、並行魔法世界群からやってきた魔術師たちが、この現代日本においてマジックバトルを繰り広げるという、いわゆるバトル小説だ。場合によっては魔法の詠唱なんかも出る。もちろん無言で稲妻バリバリなんてもある。はっきりいって、こういうのは大好物だ。
 だけど、いまいちソリが合わなかった。何が合わなかったのかはよくわからない。
 一般人最強という設定なので、フツーに自衛隊のみなさんでタコ殴りにすればよくね? とか、魔法を科学に応用して特許美味しいですとか言ってるけど具体的になんなの? とか、まあ色々と疑問はうずまくが、なんかね、こう、ワクワク感が足りない。
 インフレがない!
 2〜3巻で最強の敵が出てくるんですけど、主人公たち、わりとノープランでつっこんでノープランのまま勝っちゃうんですよね。違うだろ。そこは修行だろ。新必殺技だろ。俺の魔眼とお前の稲妻の愛のツープラトンで奇跡は起きます起こしてみせますだろ! そして最強の敵を倒して息を切らしていると「そいつなど36宮、一番の小者。消えてくれて清々したわククク729」、とかそーいう展開でしょ。インフレがいやなら毎巻主人公変えやがれ。
 熱い復活劇がない!
 最強の敵に弟いるんですけど、こいつがわりとコンプレックスまみれのダメ男なんですね。んで、超パワーアップして最後に兄に挑戦しにくるんですね。ところがこいつ視点の描写がない! 地の文で「こいつの顔つきが晴れやかであった」とかそんな感じ。なんだそのてきとーなの。半ページで終わらせるなよ。違うだろ。そこは内面描写だろ。盛り上げどこでしょ。人生フラッシュバックの灰色人生描写の重ね合わせーの、でもだからこそこの力が出てくるのだくらえギャラクティカナンチャラー!でしょ。それも全然通じなくても血まみれでも立ち上がる力がどこからでてくるんだ弟よ、あなどっていなのはワタシの方だったー! ……だろ! もっとねちっこく行こうよ!
 バトルモノにしても少女と青年の交流・成長モノとしてもストーリーモノとしても、全体的につまみぐいな感じがして破壊力にかけるなあ。もっと燃やしにくるか泣かせにくるか考えさせにくるかしてほしかった。それをラノベに要求するのは間違っているのだろうか?