「殺人の門」 東野圭吾

 隣の先輩から何故か小説を借りた。
 主人公が小学生時代からの悪友に騙されて謀られて騙されて謀られて、不幸のどん底に突き落とされて突き落とされて、それでもまた騙されるという話。さあ主人公、奴をいつ殺すんだ、今殺せ!と焦らして焦らして……
 文章自体は巧いのだが、主人公の人の良さと頭の悪さっぷりにイラついて、あまり楽しい小説ではなかった。僕自身もいい加減に騙されやすい人種ではあるけれど、何も小説の中でまで追体験させてくれなくてもいいじゃないか。
 後ろ指、両親離婚、寝取られ、詐欺、結婚詐欺、脅迫、殺人未遂とまあ不幸のオンパレードが主人公に襲い掛かるので、彼に自分を重ねずに嘲笑える人には薦められるのかもしれない。あとがきで「奇妙な友情の物語」とかうたってるけど、これはどうみてもそんな爽やかな関係じゃないぞ。