同級生の結婚について

 またひとり、同級生が籍に入ったらしい。その人との親交は無かったので、それ自体は(悪いけど)どうでもいい。別に彼も僕のことを覚えているとも思わないし、祝われても微妙な気持ちだろう。
 時間は流れているんだなって、そんな風に思う。
 さらに時が過ぎて、同僚もみな所帯を持ち……酒の席で愚痴をもらすようになる。財布を握られてるとか、愛想が悪いとか。そんななか、僕は曖昧な笑みで返すのかもしれない。まったく、湿っぽい話だ。
 奥さんを迎えるというのは、どういう気持ちなのだろう? 僕の想像は夜の河に広がる波紋のようにあてどなく広がり、実を結ばなかった。恋を知らぬ男が、結婚など想像できようはずもないのだ。甲斐性なしめ。